健康被害の元凶!?とてつもなく寒いアルミサッシの窓|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2024.01.27
内窓・窓リフォーム
健康被害の元凶!?とてつもなく寒いアルミサッシの窓
WRITER
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矢崎 拓也
環境省認定うちエコ診断士
大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。
こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。
冬の寒さとの戦いは私たちにとって避けられない現実であるわけですが、「アルミサッシの窓」はまさに寒さの元凶です。
今回はなぜアルミサッシの窓が寒さを感じさせるのか、詳しくお話ししていきます。
そもそもアルミはサッシに不向き
率直に言ってしまうと、最初からアルミニウムはサッシの素材に向いていません。
これはアルミニウムの熱伝導率を考えれば明白で、アルミニウムは熱が非常に伝わりやすい物質です。
アルミニウムが活用されているものに車のラジエーターが挙げられますが、これはアルミニウムの熱伝導率の高さを活かしているからです。
しかし住宅の窓においては、熱が伝わりやすいという性質はむしろデメリットとなります。
こちらは住宅に出入りする熱の割合についての画像です。
夏の暑い熱を外から室内に入れているのは7割ほどが窓で、冬に室内で作った熱を外に逃がしているのも5割ほどが窓であることが分かります。
つまり、暑さや寒さの原因となっているのは熱伝導率の高い窓であり、その代表格がアルミサッシの窓なのです。
実際、世界規模でみた時に、日本以外の先進国でアルミサッシの窓はほとんど使われていません。
アルミサッシは安価で耐久性や加工性にも優れていることから、特に高度経済成長期においては急速な建設需要に応える理想的な選択肢となりました。
しかしエネルギー効率や断熱性が重要視される昨今においては、アルミニウムの窓サッシとしての役割は見直しと変化が求められていると言っていいでしょう。
家の寒さは全国的な問題
熱伝導率が非常に高く寒さに弱いアルミサッシですが普及率はいまだに高く、およそ5,000万戸ある日本の住宅の7割を占めていると言われています。
このことは日本の家屋の冬の寒さにも現れていると思います。
こちらは国土交通省による冬のリビングの平均室温についての調査です。
一部の地域を除き、ほぼ全国で18℃を下回っていることが分かります。
ちなみにWHOでは、血圧の上昇・ヒートショック・呼吸器系の病といったリスクを問題視して、冬の室温を18度以上に保つことを強く勧告しています。
ドイツの住宅法では居室において18℃以上の室温を保てなければ、借主からの賃料の減額や契約解除と言った権利を行使できるケースもあるようです。
それを考えると、日本の家屋はかなり寒いことが分かりますね。
アルミサッシの更なる問題「結露」
室内の熱を逃してしまい寒さの原因となるアルミサッシですが、もう1つの大きな問題の原因でもあります。
それが「結露」です。
お客様の中には、毎朝びっしりと窓にこびりついた水滴を取るのにうんざりされて、そのことが内窓の設置工事を決断した要因のひとつになっていた方も多いです。
アルミサッシは非常に高い熱伝導率を持っていることから、室内側のアルミサッシは冷たい外気に反応し、表面温度が下がりやすいです。
アルミサッシの表面が冷えると、室内の空気がサッシの冷たい表面に触れて冷やされて結露が起こります。
熱伝導率が高ければ高いほど結露が起きやすいことになりますね。
結露はただ不快なだけでなくカビの原因となり、カビの成長は室内の空気を悪くしてぜんそくやアレルギーなどの健康問題を引き起こす危険性もはらんでいます。
寒さの原因となることが、結露やカビの原因にも繋がっているのです。
アルミサッシの窓を断熱改善するには?
これから家を建てる場合にはそもそもアルミサッシの窓にしないのが一番ですが、既存住宅であっても窓の性能を簡単に向上させることは可能です。
特にオススメしたいのが内窓の設置です。
内窓は既存の窓の上から重ねるようにして室内側に取り付ける窓で、簡単に設置できます。
具体的な商品名ですと、YKK APのプラマードUや、LIXILのインプラスなどが代表ですね。
これらのサッシはアルミとは比べものにならないほど熱貫流率が低く、取り付けるだけで暑さや寒さが大幅に改善されます。
特に古い戸建て住宅の場合、元々の性能が低い分大きな変化を期待できますから、ぜひ一度サッシの性能を見直していただきたいところです。
※内窓について詳しくはこちら
さいごに
今回はアルミサッシの寒さについてお話ししてきました。
これまで効率性が重視されてきた住宅づくりは大きく変わりつつあります。
昨今は省エネ、CO2削減、SDGsといった取り組みが活発になってきていますが、大事なのはやはりエネルギー損失を減らしつつ、健康で長生きできるお家にしていくことだと思います。
窓は全館空調や太陽光発電や給湯器といった設備と異なり、一度取り付けると非常に長い期間にわたって効果を発揮します。
ぜひ一度、窓の断熱性能について検討してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。