部屋が寒い!その原因は・・・寒さの正体を知ろう!|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.12.17 / 更新日 2021.10.05

寒さ・暑さ対策

部屋が寒い!その原因は・・・寒さの正体を知ろう!

部屋のイメージ

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

「携帯を触っていたらいつの間にか手が冷え切っていた」
「暖房の設定温度を上げても足元の冷えが取れない」

そんな経験をされている方は「どうして自分の部屋はこんなに寒いんだろう」と感じてしまうのではないかと思います。このページではそんな疑問にお答えしていきます。

部屋が寒いと感じてしまう原因は大まかに3つあります。

  1. 身体から逃げる熱が多い
  2. 部屋から逃げる熱が多い
  3. 部屋の体感温度が低い

この記事ではこれらに焦点を当てて、部屋で寒さを感じてしまう原因について解説をしていきます。

部屋が寒い原因① 部屋から熱が逃げている

部屋の熱の逃げる場所

熱は熱い方から冷たい方に移動します。熱いコーヒーは時間が経てば冷めますね。エアコンやヒーターが作った熱も気温の低い室外に逃げていきます。部屋の中のどこが一番冷気を感じるでしょうか。おそらくドアや窓の近くではないかと思います。

室内から逃げる熱は48%が窓、19%が外壁、10%が床を通じてと言われています。暖房の効いている部屋でも窓辺や壁際が冷たいのはこのためです。

窓際や壁際の冷えはコールドドラフトと呼ばれる足元の寒さの原因となります。

お風呂を追い焚きして、手を入れると温かったので入ってみたら下の方はまだ水だった…という経験をしたことはないでしょうか?

冷たい空気は部屋の下側にたまるので、足元にヒヤッとした寒さを感じる原因になります。

部屋が寒い② 身体から熱が逃げている

体から逃げていく熱

「部屋を暖かくする=部屋が寒くなくなる」とは必ずしも言い切れません。何故なら、いくら部屋を暖かくしても身体から熱が逃げていれば「寒い」と感じてしまうからです。体内で作られた熱は手先やつま先から身体の外に逃げていきます。逃げ方に応じて以下のように呼ばれています。

 

  • 蒸発
  • 伝導
  • 対流
  • 放射(輻射)

 

それぞれについて具体的な例を紹介していきます。

蒸発:

液体は蒸発する際に周辺の熱も同時に奪っていく性質を持っています。汗をかいた後しばらくすると肌寒くなるのは、汗が蒸発したときに周辺の熱も下げるためです。

伝導:

熱が物質を伝わっていく現象のことをいいます。フローリングを素足で歩いていると足の裏が冷たく感じてしまうのは、熱が身体からフローリングに移動しているからです。

対流:

液体や気体のような流体の移動に伴う熱移動のことです。風が吹いたときに涼しく感じるのは対流による熱移動が発生しているからです。

放射(輻射・ふくしゃ):

物質から電磁波が放出され、他の物質に吸収される現象です。太陽の光を浴びると暖かくなるのは電磁波の1種である「太陽光」を浴びているからです。

 

放射で寒さを感じてしまう理由:


この中で一番熱が逃げる割合の大きいのは「放射」です。しかし先ほどの説明だけだと「放射が寒さの原因になるというのがいまいちよくわからない」と感じてしまうかもしれませんので、放射についてもう少しだけお話しをしておきます。

赤外線ヒーターは皆さんもご存じだと思います。暖かくなった本体に近寄ると私たちも暖かくなります。冬の部屋で寒さを感じるとき、これと逆のことが起こっています。

私たちが赤外線ヒーターから熱をもらっているのと同じように、冷たい部屋の壁や床に対して無意識のうちに私たちは熱を「与えて」います。

熱のやりとりは電磁波という形で行われています。言い換えれば、私たちの身体の熱は知らない間に壁や床に電磁波という形で奪われていることになります。

部屋が寒い原因③ 体感温度が低い

「部屋自体の温度は高いはずなのに寒さを感じてしまう」となってしまうのは、部屋の体感温度が低いことが原因です。ここからは部屋が寒い原因について「体感温度」という視点でご紹介していきます。

環境工学では体感温度の計算式を以下のようにあらわします。

体感温度 =(室温+壁や床の表面温度の平均)/2

 

壁や床の表面温度の平均のことを「MRT」といいます。(厳密にはMRTとは先ほどご紹介した放射の平均温度のことをいいますが、壁や床の表面温度とイコールと考えて大丈夫です)

なので壁や床の表面温度が高ければMRTは大きくなり、逆に壁や床が冷え切っているとMRTも小さくなります。

MRTによる体感温度の違い

つまり体感温度は壁や床の表面温度が低ければ低いほど低くなります。

エアコンで室温を高くしても寒さを感じてしまうのは、部屋の表面温度が低いせいで体感温度も低くなってしまうのが原因です。

部屋を暖かくするには

部屋の寒さの原因である熱の収支や体感温度の仕組みについて解説してきました。ここまで読んでいただいた方は

「部屋が寒くなる原因は大体わかったから、その対策方法を教えて欲しい」

と思われるのではないかと思いますので、最後に寒さ対策についてまとめた記事を紹介します。

▶リビングの寒さ対策はまず隙間風をなくす事から!方法を徹底解説
https://www.dannetsu-takumi.com/contents/column/temperature_difference/

▶部屋の寒さ対策はこれをやれば間違いなし!定番の方法まとめ
https://www.dannetsu-takumi.com/contents/column/against_cold/

部屋が寒いと心身ともに様々な不具合が起きやすくなります。是非「寒さを感じない暖かい部屋づくり」を考えてみてください!