断熱リフォーム業者の選び方と注意点を解説|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2021.01.13 / 更新日 2024.10.21

断熱リフォーム

断熱リフォーム業者の選び方と注意点を解説

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

断熱リフォームを検討中です
どの業者を選べばいいか分かりません

断熱リフォームは内装などのリフォームと違い、多くの知識や技術力が求められるリフォームです。しかし、一般的なリフォーム業者の営業マンは気流止めQ値・UA値といった断熱専門用語を知らない、というのが現実です。

当記事では、なぜ断熱リフォームは知識のある業者選びが必要で、どのような基準で業者選びをしたら良いのかについて解説します。

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断熱リフォーム専門会社か総合リフォーム会社か

まず、断熱リフォームを取り扱っているリフォーム業者には2つの業態があります。一つが専門的に断熱リフォームを行っている業者、もう一つが総合リフォーム業の業者です。

これらにはそれぞれメリット・デメリットが存在しますが、断熱リフォームという点においては他の一般的なリフォームとは異なる視点で業者を天秤にかける必要があります。以下が具体的なメリットデメリットです。

断熱リフォーム専門業 総合リフォーム業
メリット ・実績が豊富な場合が多い
・工事も自社内で完結
・他のリフォームと一緒にできる
・多くの店舗がある
デメリット ・断熱以外を取扱っていない
・業者の数が少ない
・断熱の実績が乏しい場合が多い
・工事は別業者を使っていることが多い

 
比較すると、断熱専門業者は経験が豊富だけど断熱以外は対応できない総合リフォーム業者は様々なリフォームと一緒にできるけど断熱の実績が乏しい、という様に、真逆の性質があることがわかります。

しかし、総合リフォーム業者は断熱の実績が乏しい、というのは一体どういうことなのでしょうか。その点を次の章で深堀りしてみます。

総合リフォーム業者は断熱リフォームの実績が少ない

いざ断熱リフォームをしようと思っても、どこに依頼すればいいのか迷う方が多くいらっしゃいます。「断熱リフォームの実績が豊富な会社が見つからない」という声があるように、実績を持ち合わせた業者は想像以上に少ないのが現状です。

これは当然のことで、住宅の断熱が重要だと広く認識されるようになったのは比較的最近のことだからです。多くのリフォーム会社がホームページで断熱リフォームを宣伝しているものの、実際にはまだ需要がこれから伸びる分野であり、経験が少ない業者がほとんどです

矢崎
矢崎
さらに、リフォームの営業担当者の多くは断熱に関する知識が十分ではないことが多いのも一つの理由になっています。

リフォーム業者にとって断熱は扱いにくい

断熱リフォームには、専門的な知識が数多く求められます。断熱材の種類や性能の違い住宅に合わせた施工方法、さらには自治体ごとの補助金制度など、幅広い知識が必要です。加えて、建築全般の理解も欠かせません。

正直なところ、私自身も断熱リフォームに携わり始めた頃は苦労しましたし、今でも学ぶべきことが多くあります。ただ、弊社は断熱リフォームに特化しているため、その点は恵まれていたと思います。

一方、総合リフォームの営業マンが、さまざまな商品を扱いながら断熱について深く理解するのは、現実的に難しいでしょう。規格が決まっているキッチンやユニットバスとは違い、断熱リフォームは一筋縄ではいかない分野だからです。

断熱を取り扱い始めたリフォーム会社の一例
過去に、総合リフォーム会社から「断熱の販売方法や商品について勉強会を開いてほしい」という依頼を受けたことがあります。総合リフォーム会社は、水回りリフォームなどとセットで断熱を提案したい意図があったようです。しかし、断熱は規格化された商品と異なり、簡単に説明できるものではありません。
 
また、デザインでお客様に喜ばれるリフォームとは違うため、実際にはほとんど販売につながりませんでした。現在では、リフォーム会社からの提携依頼があってもお断りしているのはそのためです。断熱の知識がない営業マンが、十分な説明ができないまま無理に販売することは、私たちの理念にはそぐわないと考えております。

断熱リフォーム専門業者は数が少ない

対して、断熱リフォーム専門業者も問題点が無いわけではありません。大きな問題として業者の数が少ない、という点が挙げられます。

理由は、前述の通り断熱リフォームは近年成長してきた分野だからで、そもそも断熱リフォームを専門的に取り扱っていた業者がほとんど無かったのです。新築向けの断熱施工業者はたくさんありますが、それらの業者が既存住宅に断熱リフォームを提案から施工まで行えるかというと、意外にもそう簡単なものでは無いんですね。

このような理由から、断熱リフォームの業者選びは普通のリフォームと比較して難しいものになっています。

断熱リフォームの業者の選び方

ここまで、断熱リフォーム業者の業態と特徴について解説しました。非常に難しい断熱リフォームの業者選びですが、しっかり調べれば断熱に詳しいリフォーム業者が全く無いわけではありません。

お願いしてから後悔しないためにも、正しく業者を選ぶ方法を見ていきましょう。

1.断熱に関する知識を持っているか

ここまでご説明したように、断熱リフォームを成功させるには業者が断熱に関する十分な知識を持っていることが不可欠です。断熱材の種類や性能の違い、住宅ごとの最適な施工方法、さらには気流止めや防湿の重要性を理解しているかどうかがポイントです。

断熱は専門性の高い分野であり、正しい知識がなければ、期待した効果が得られないこともあります。見積もりや相談時には、断熱に関する具体的な質問を投げかけて、業者の知識や理解度を確認しましょう。

ポイント

例えば、「この断熱材の特徴は何ですか?」や「気流止めはどのように行いますか?」といった質問をすることで、業者がどれだけ深く断熱のことを理解しているかを見極めることができます。

気流止めが全く行われていなかった事例も
あるお客様で、ホームページでは断熱リフォームの取り扱いをアピールしていた業者だったので、床下断熱(床下に入って断熱材を設置)をお願いしたそうです。
 
しかし、その後も寒さは改善されず、もっと良い手はないかと私共に相談がありました。一旦、床下に入って驚いたのは、断熱で重要な気流止めが一切されていなかったのです。断熱の技術が施工スタッフには求められますが、現実的には頻繁に依頼がある商品ではないため、知識や技術力に乏しいひとが行っていることが原因と考えられます。

2.他社の製品も知っているか

信頼できる断熱リフォーム業者は、自社の商品だけでなく、他社の製品や施工方法についても理解している必要があります。断熱リフォームにはさまざまな材料や工法があり、住宅の構造や条件に応じて最適な選択肢が異なるため、幅広い知識が求められるからです。

特定の製品に固執する業者よりも、複数の選択肢を比較し、お客様に最適な提案をできる業者の方が信頼性が高いと言えます。

ポイント

見積もり時に他社製品のメリットやデメリットについても説明してもらい、納得できる説明が得られるかどうか確認しましょう。複数の製品を知っている業者であれば、お客様のニーズに合わせた柔軟な提案が可能です。

3.自社商品のデメリットも言えるか

優れた断熱リフォーム業者は、自社商品のメリットだけでなく、デメリットについてもしっかりと説明できる業者です。どんな製品にも必ず短所や注意点があるため、それを隠さずに伝える姿勢は、信頼性を示す大きなポイントになります。例えば、断熱材によってはコストが高い、施工が難しい、耐久性に限界があるなどの点があり、それらを適切に説明してもらうことで、後悔のない選択ができるでしょう。

業者が自社商品のデメリットを明確に説明できるかどうかは、その業者がどれだけお客様の立場に立って考えているかを判断する重要な指標です。納得のいくリフォームを実現するために、デメリットについても正直な意見を求めましょう。

4.補助金の提案ができるか

断熱リフォームには、自治体や国の補助金制度を活用できる場合があります。補助金を上手に活用することで、リフォーム費用を大幅に抑えることが可能です。しかし、補助金制度は地域によって異なり、申請の手続きも複雑な場合があるため、業者がこれらの制度に精通しているかを確認することが大切です。

ポイント

相談の際には、補助金の利用可能性について質問し、具体的な提案があるかどうかをチェックしましょう。適切な補助金の提案を受けられるかどうかは、最終的な費用にも大きく影響します。

矢崎
矢崎
実際に業者に見積りと補助金の相談をしたところ「自分で申請してください」と断られたお客様もいらっしゃいました。

予算に応じて断熱リフォームの業者を検討する方法

断熱リフォームには大きく分けて2つの方法があります。1つ目は、壁や床を剥がして行う解体リフォーム。もう1つは、既存の状態を維持したまま床下や天井裏に断熱材を設置する非破壊断熱工法です。これら2つの工法は施工金額に大きな差があるため、予算に応じて業者を決める方法もあります。

床を剥がして断熱材を追加する

(写真)床や壁を剥がして断熱材を施工する解体工法。
床下の断熱施工

(写真)床下に断熱材を搬入して施工する非破壊工法。

 
※他にも室内側に断熱ボードを貼り付ける方法もありますが、断熱材の厚みで部屋が狭くなる、見た目が悪くなるといったデメリットがあるため、今回は説明を省略します。

1.壁や床をはがす解体リフォーム【100点断熱】

特に総合リフォーム会社で扱われる工法で、壁や床を解体して断熱材を設置します。断熱リフォームといえば床を剥がす、と言われるほど従来から行われてきた工法ですが、コストが非常にかかるため予算内に収まるかどうかはしっかりと確認する必要があります。

ただし、壁や床を解体するので施工がしっかりしていれば断熱効果は抜群です。もし「断熱リフォームで完璧な仕上がりを目指したい」と考えているなら、この方法が最適です。

壁と床を解体した現場

(写真)壁や床を解体してスケルトン状態にする。この状態から断熱材を施工する。

(写真)室内全体を解体することになるため、内装リフォームなども同時に行う場合が多い。

 
費用は断熱リフォームだけを実施した場合、床下断熱とその付随費用で160万〜200万円前後となりますが、床や壁を剥がす大規模工事になるのであれば、「内装や水回りのリフォームも一緒にやってしまおう」と考えられる方がほとんどです。

リフォーム業者としても、建物全体のリフォームを前提として断熱リフォームを提案することが多いですので、トータル費用でみると数百万円から1500万円ほどの費用を覚悟する必要があります

また、見落としがちな点として、施工を担当するのが断熱に詳しくない大工さんであることがあります。断熱リフォームでは知識と技術が非常に重要ですので、業者選びの際はしっかり確認するようにしましょう。

2.床下や天井裏から断熱する非破壊工法【80点断熱】

予算を抑えつつも断熱効果を得たい場合は、床下や天井裏に施工スタッフが潜って断熱材を設置する方法が有力な選択肢です。弊社(断熱リフォームの匠)のような断熱リフォーム専門店が採用している工法で、床を剥がす工法よりも費用を大幅に抑えることができます

もちろん、床や壁を剥がさないため、前述の工法と比較して断熱効果は劣りますが、しっかりと要所を抑えた断熱施工を行えば必ず効果を実感いただけます。解体工法が100%の断熱だとすれば、非破壊工法はコストとのバランスをとった80点断熱と捉えることができます

標準的な住宅の場合、1階の床断熱リフォームはおおよそ50万円〜80万円で施工が可能です。床、天井、窓全てを非破壊で断熱リフォームしても総額250万円〜290万円程度に収まり、壁や床を全て解体する方法と比べて費用を大きく抑えられます。

床下や天井裏に人が入れない住宅では施工が難しい点はデメリットとなりますが、費用と断熱効果のバランスを考慮するならこちらの方法がおすすめです。

解体工法 非破壊工法
床断熱費用 160万〜200万円
(大規模工事になると1000万円を超えることも)
50万〜80万円
(床,天井,窓含めても250万〜290万円程度)
工期 1週間〜 1日〜2日

まとめ|断熱リフォーム業者選びは無料調査から

断熱リフォームは高い知識や技術力を持っている業者選びが重要です。それでも、断熱リフォームはまだこれからの商品ということもあって、リフォーム業界では断熱経験が豊富な人材が少ないのが現状です。一般的なリフォームとは違い、慎重に業者選びされることをお勧めします。

最後に、断熱リフォーム業者の選び方のまとめ表をつくりましたので、断熱リフォームをご検討の方はぜひご活用ください。

・断熱以外のリフォームも検討中 大規模リフォームが得意な総合リフォーム業者がおすすめ
・断熱リフォームのみを考えている
・高くても完璧な断熱を希望
壁・床などを解体して断熱工事ができる業者がおすすめ
・断熱リフォームのみを考えている
・断熱性能とコストのバランスを重視
非破壊で断熱リフォームができる断熱専門業者がおすすめ
断熱リフォーム業者選びチェックシート
□断熱リフォームの実績が豊富
□断熱の知識が豊富(気流止めなどを理解している)
□他社製品の知識も豊富
□自社商品のデメリットも理解している
□各種断熱関連の補助金の対応ができる

できる限り上記5項目全てをチェックできる業者を選ぶようにしましょう。

矢崎
矢崎
断熱リフォームの匠では工事前に必ず無料断熱調査を実施しています。断熱リフォームや補助金のことなど、お気軽にご相談ください!
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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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