リフォームで後悔しない!おすすめの暖房器具をうちエコ診断士が語る|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2018.12.08 / 更新日 2023.09.25
寒さ・暑さ対策
リフォームで後悔しない!おすすめの暖房器具をうちエコ診断士が語る
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矢崎 拓也
環境省認定うちエコ診断士
大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。
こんにちは。《断熱リフォームの匠》の矢崎です。
今回は「リフォームで後悔しない暖房器具の選び方」というテーマでお話ししていきます。
これがいいと思って選んだ暖房器具の光熱費がかさんだり、掃除が大変だったり、使い勝手が思うほどよくなかった・・・という状況は避けたいところです。
そこで今回は代表的な4種の暖房器具、
- エアコン
- 床暖房
- 蓄熱暖房機
- 石油ファンヒーター
- 温水パネルヒーター
について、うちエコ診断士の立場としての考えも交えて比較しつつ分かりやすく判断できるようにしてみました。
リフォームで新しい暖房器具をご検討の方はぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
エアコン
抜群の使い勝手の良さ
エアコンの特徴として使い勝手の良さがあります。
冷房と合わせて1台での運用は他の暖房器具では行えない唯一の性能です。
初期費用、修理、買い替えなどのコストも1台だけでいいので大きなコストの削減に繋がります。これは床暖房やファンヒーターにはないメリットと言えるでしょう。
床暖房やファンヒーターといった設備はエアコンがあることを前提としている部分もあり、どうしても初期費用がかかってしまいますし、長い目で見た時には諸々の費用がかさむことになります。
またエアコンは安全性の高さも大きなメリットで、本体が熱くならず高所に設置されており小さな子どもがいてもやけどなどの事故のリスクが小さいですし、有毒ガスの発生もありません。
エアコンの注意点として設定温度の上げすぎがあります。
寒い季節はついつい設定温度を高くしてしまいがちですが、エアコンの設定温度を1℃上げるとランニングコストが約10%増加するといわれています。
20~22℃の範囲で運用するのがおすすめです。
断熱性能が高ければ効果倍増
エアコンは断熱性能の高い家でよりパフォーマンスが向上します。
断熱性能が高ければ室内の暖かい空気は逃げにくくなり、暖房が効き始めるまでの時間は早く、反対に消した後の室温の低下は緩やかになります。
床の断熱材を強化すれば底冷えが改善されますし、天井を高断熱にすればリビングの暖房で2階も暖まりやすくなります。
天井、窓、床と断熱性能を高めれば家全体から暖房の熱を逃げにくくし、擬似的に全館空調の状態に近づけることが可能です。
夏も外の暑さを遮って冷房の効きをよくする効果があるので結果的にコストパフォーマンスがよくなります。
もしリフォームで暖房器具の新設をご検討でしたら断熱性能に注目していただくのもおすすめの選択肢です。
床暖房
床暖房を使えばフローリング全体を暖めることができます。足元が温かくなるというのは冬の手足の冷えを感じておられる方にとってはとても魅力的だと思います。
床暖房は空間ではなく床の表面温度を暖めますので、室温が上がりすぎず乾燥や結露が起こりにくい傾向にあります。直風に当たることもないので居心地の良さを感じやすいです
また、エアコンと同様に火傷や火事の心配が低く安全性が高いと言えます。
ペットを室内で飼われている方にとっては留守中も安全に部屋を温めることができますし、人間同様に空気の乾燥リスクを抑えることもできます。
床に据え置く必要がないので空間全体を広くオシャレに使うことができるのも床暖房ならではのメリットですね。
床暖房で注意すべきはコストパフォーマンスです。
私がこれまでお話ししたお客様の中にも「床暖房は意外と暖まるのに時間がかかった」という方も少なからずいらっしゃいました。
また、設置にかかる工事費用や故障した時のメンテナンスコスト、ランニングコストなど、諸々の費用はいずれもエアコンに比べて高くなる傾向にあります。
「床暖房をつけたはいいけど、光熱費が高すぎて結局使わなくなってしまった・・・」という話も少なからず耳にします。
光熱費の対策として断熱性能の確保があります。
もし床の断熱性能が低いと床暖房の熱は床下側に逃げていくので、とても非効率になってしまいます。
床暖房はある程度の床の断熱性能があることを前提とした上で選択肢に入れるのが無難だと思います。
蓄熱暖房器
蓄熱暖房機は内部に耐火レンガや蓄熱レンガが入っている暖房器具です。深夜電力を使ってレンガに蓄熱し、その放熱で部屋を温めます。
蓄熱にかかる時間はおおよそ8時間から12時間ほどで、一晩温めれば一日使うことができます。
蓄熱暖房器は床暖房と同様、レンガを暖めてその熱で間接的に空間を暖かくします。
そのためやはり床暖房のように室温が暖かくなりすぎず、その分空気の乾燥を感じにくかったり結露が発生しにくくなるメリットがあります。また有害物質の発生もないことから安全性も確保されています。
注意点として、住む人のライフスタイルと合っているかどうかは事前に考慮しておく必要があります。
せっかく温めたレンガも使わなければ再び冷めてしまいます。(暖房の仕組みを考えると床暖房と同様にやはり断熱性能の確保は必須だと思います)
また、レンガを温めるのは深夜ですから使用は主に日中を想定しています。そのため共働きだったり家にいることが少なかったりすると、温めた蓄熱暖房機が使えずに無駄が生じてしまう可能性が高くなります。
しかもだからといってスイッチを完全に切ってしまうと、一から温めるのには多くの光熱費や時間を要してしまいます。
そういった事情から蓄熱暖房機のメーカーによっては最初からエアコンとの併用を推奨しているところもあるほどです。
反対に、もし高い割合で日中は家にいることが多い方にとってはとても心強い暖房器具だと言えます。
石油・ガスファンヒーター
石油ファンヒーターやガスファンヒーターはガスや石油を燃やして発生した熱を温風として送り出す暖房器具です。
これらの暖房器具はコストパフォーマンスに非常に優れています。
電気の暖房器具は石油の暖房器具よりもコストが5倍かかると言われています。熱エネルギーを生み出すまでの流れが複雑で、どうしても燃費が悪くなるのです。
石油・ガスファンヒーターの大きなメリットとして立ち上がりの早さがあります。
スイッチを付けてから温かさを感じるまでが他の暖房器具に比べて非常に速く、手元や足元だけでもすぐに温まりたい、朝時間がないときにパッと暖かくしたいと感じることが多い方はガスファンヒーターが役立つと思います。
また化石燃料は燃焼時に水分を放出することから、乾燥による不快感を感じにくいのも大きなメリットだと言えるでしょう。
暖かい空気は上の方に上昇する性質がありますが、石油・ガスファンヒーターは床に据え置いて使うことから空間全体が温まりやすいのも重要なポイントですね。
また滅多にあることではないと思いますが、万が一大規模な停電などが発生した際にも無防備な状態にならずに済むという安心感も化石燃料系の暖房器具の強みと言えるでしょう。
一方、これらの暖房器具で注意すべきは安全性の確保です。
化石燃料は燃焼時に一酸化炭素などの有毒ガスを出すので換気不足にならないよう、気を配っておく必要があります。
燃焼後の排出物が室内に溜まらないよう、定期的な換気は必須です。
運転時は本体が非常に高温になるので、小さな子供がいる時はやけど対策の保護柵の設置もしっかりと行わなければいけません。
また結露が起こりやすいのも問題で、他の暖房器具と異なり空気中に直接水分を放出することから、湿度がとても上がりやすいです。
特に都市ガスの場合は、燃焼した時にプロパンガスよりも約24%水分を多く発生させると言われており、部屋の結露にも十分する必要があります。
温水パネルヒーター
温水パネルヒーターはガス・電気・灯油などで内部の水(不凍液)を暖めてパネルヒーター内を循環させ、その熱で部屋全体を暖める暖房器具です。
平べったいものや細長いものが多く、壁際や窓際に設置して使用するのが特徴です。
温水パネルヒーターは本体が持つ熱を利用して周囲を暖かくする(輻射熱で温める)ので、ストーブのように有害物質を発生させることはありませんし、エアコンのような乾燥の心配も少なくて済みます。また、温水パネルヒーターを窓際に設置しておけば冷気や結露の対策にもなります。
同じ輻射式の蓄熱暖房機との違いはお手軽さにあります。蓄熱暖房機に比べて電気代は高くなるものの使いたい時に使うことができますし、トイレなど細かい空間に区切って管理できるためより柔軟な使い方ができます。
デメリットとしては設置コストや運用面で手間がかかることです。熱源であるボイラーを始めとしたシステム全体の定期的なメンテナンスを行う必要があります。
内部の腐食や故障を防ぐためのメンテナンスは3〜4年に一度は行う必要があると言われており、定期的に業者に依頼を行うことになります。
さいごに
今回は暖房器具のメリットやデメリットを踏まえた上での選び方についてご紹介してきました。
ライフスタイルや暖かさで重視したいものによっても何がおすすめかは異なります。
後悔のない選択をするためのお力添えに慣れたのであれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。