床下断熱リフォームの種類・工法は?メリットとデメリットも解説|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2018.11.02 / 更新日 2024.10.21

断熱リフォーム

床下断熱リフォームの種類・工法は?メリットとデメリットも解説

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廣澤 健一郎

環境省認定うちエコ診断士

地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。

床下断熱リフォームはどの工法がいいですか?
どの断熱材がおすすめか知りたいです

ここ数年で、床下から断熱材を施工する断熱リフォームをご希望される方が非常に増えてきました。そこでよく聞く声に「断熱リフォームの施工方法が複数あってどれを選べばいいか分からない」というものがあります。

そこでこの記事では、代表的な床下断熱リフォーム工法の種類と、使う断熱材のメリットやデメリットを解説します。

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床下断熱リフォームの工法の主流は2種類

まず、床下断熱リフォームとは、床下から床の裏面に断熱材を施工する断熱リフォームの総称です。基本的に床下から施工するため、床下からの施工性が良い断熱材が使用されます。

ここでは5種類の断熱材・工法をご紹介しますが、現在ではそのうちの高性能グラスウールボード現場発泡ウレタンを使用した2つの工法がより一般的に使用されています。

工法 工期
高性能グラスウールボード 大引き間へボード状の断熱材を張り付ける
(※大引:床の横架材)
約1日
現場発泡ウレタンフォーム 床裏側へ発泡性の断熱材を吹き付ける 約1日
セルローズファイバー 大引き間にシートを貼り、断熱材を充填する 2日〜
板状プラスチック系断熱材 根太間や大引き間に断熱材を張り付ける
(※根太:大引きの上に敷く木材)
1日〜
※参考
床を剥がしての断熱リフォーム
床板を剥がして断熱材を取り替える 約1週間

高性能グラスウールボードの張り付け

まずは、主流の床下断熱リフォームの一角、高性能グラスウールボードを使用する工法について見ていきましょう。こちらは弊社(断熱リフォームの匠)も採用する工法です。

施工方法は、床下に高性能グラスウールボード断熱材を搬入し、床の部材に固定して張り付けます。詳細な施工方法は別コラムで解説しています。

床下の断熱リフォーム前

(写真)施工前。
床下の断熱リフォーム後

(写真)施工後。80mm厚の断熱材を施工。

 
多くの断熱リフォーム現場で高性能グラスウールボードが採用される理由は、施工性の良さにあります。多くの断熱材は「柔軟性がない」や「マット状で自立しない」という特徴を持つのですが、実はこの特徴が床下での施工性を妨げる大きな理由になっているんですね。

柔軟性が無いと施工精度がよりシビアになりますし、自立しない断熱材だとたるんで隙間ができる原因になります。その点、高性能グラスウールボードは柔軟性があり、形状もボード状で自立します。つまり、施工する時に隙間(断熱欠損)ができにくく固定しやすいという利点があるのです。

メリット デメリット
・柔軟性があり施工しやすい
・耐久性がある
・耐火性がある
・メンテナンス性が高い
・水気に弱い
・複雑な形状の場所では断熱欠損が起きやすい

 
ただし、複雑に入り組んだ形状の場所では、断熱材を細かくカットしてはめ込む必要があり、注意して施工しないと断熱欠損が発生する恐れがあります。

廣澤
廣澤
ちなみに、万が一の水漏れなどで断熱材を外す必要がでたとき、ボードを取り外すだけで修繕ができるメンテナンス性もメリットの一つですね。
詳細情報

断熱材の厚み:80mm、熱伝導率(W/(m・K)):0.036

現場発泡ウレタンフォームの吹き付け

次に、もう一つの主流である現場発泡ウレタンフォームについて見ていきましょう。こちらは、アクアフォームやアイシネンといった断熱材が特に有名で、リフォーム現場でも多く使われている工法です。

施工方法は、床下までホースを引き込みウレタンフォームを床板裏面に吹き付けます。吹き付けると発泡して30倍〜100倍ほどの体積に膨れ上がり、断熱材として機能するようになります。膨れる際、断熱材自身が勝手に隙間を埋めていきますので、断熱欠損が起きにくく理にかなった工法と言えるでしょう。

現場発泡ウレタンフォーム

(写真)床下上面全体にウレタンフォームを吹き付ける。
現場発泡ウレタンフォーム

(写真)吹き付け工法のため見た目の問題が生じる。

 
木造一戸建ての床下断熱リフォームで特に多いのは100倍発泡のウレタンフォームですが、実は施工した際、いびつに膨れ上がるため、施工後の見た目を気にされる方にはデメリットとなる恐れがあります。

ただし、性能面では吹き付け表面のスキン層(被膜)を削り取って整えることは推奨されません。スキン層が中の空気を閉じ込めることで断熱性能を担保しているからです。床下の吹付けにおいて、見た目を整えるために削り取ることは基本的に行われませんので、その点は注意が必要です。

メリット デメリット
・隙間なく施工できる
・短工期
・複雑な場所でも欠損が起きにくい
・仕上がりの見た目
・燃焼すると有毒ガスを発生させる
・スキンカットで性能が落ちる
廣澤
廣澤
発泡ウレタンの場合は、万が一の修繕のときに断熱材を剥ぎ取る必要があるためメンテンナンス性は他の断熱工法よりも下がります。
詳細情報

断熱材の厚み:調整可、熱伝導率(W/(m・K)):0.038~0.033

その他の施工方法

ここまで主要な2工法の解説をしましたが、床下断熱リフォームの工法には他にも様々な方法があります。ここからは他工法について簡単にご紹介していきます。

セルローズファイバーの充填

セルローズファイバーとは、使われなかった新聞紙を細かく裁断して再利用した断熱材のことです。見た目は綿のようですが、それぞれがバラバラに独立しているため施工性に優れる特徴を持ちます。

(写真)綿のような断熱材。板状やマット状ではないため断熱欠損が起きにくい。

(写真)シートを張り、ホースでセルローズファイバーを充填する。

 
ただし、床下でセルローズファイバーを施工するには、まずセルローズファイバーを充填するための空間を作る必要があります。具体的には大引の間にシートを張り、セルローズファイバーの重みに耐えられるように補強をする、などの工程です。

そのうえで床下にホースを引き込み、セルローズファイバーをシートと床の間の空間に充填させていくんですね。そのため、他の工法よりも工程が非常に多く、施工費用が高くなる傾向があります。

メリット デメリット
・隙間なく施工できる
・複雑な場所でも欠損が起きにくい
・吸放湿性能があり湿気に強い
・他の工法よりも床高が必要
(施工に必要なスペースが求められる)
・施工費が高い
・断熱材がバラ状なのでメンテナンス性が悪い
・他の断熱材よりも重い

板状断熱材の張り付け

床下の断熱材として新築時に使われることの多い板状の断熱材ですが、リフォーム現場でも使われることがあります。その多くは床を剥がして床断熱材を施工するときに採られる方法ですが、床下から施工する事例も稀にあるようです。

断熱材の素材としては、ポリスチレンフォーム(EPS・XPS)や柔軟性ポリウレタンフォーム、発泡ポリプロピレンフォームがリフォーム用として製品化されています。

メリット デメリット
・湿気に強い
・加工がしやすい
・経年による劣化に強い
・熱に弱い
・硬質なので隙間ができやすい

 
素材により多少の柔軟性があるものもありますが、基本的には硬質で施工精度を求められる断熱材です。そのため、床下という狭い空間で施工するには若干ハードルが高い工法と言えるでしょう。

それぞれの断熱リフォームの費用とメンテンナンス性の比較

ここまで床下断熱リフォームの断熱材とその工法について解説しました。今回ご紹介した断熱工法の比較を図にすると以下のようになります。

比較図では、施工・メンテナンス性と費用対効果を軸に設定していますが、これは床下での施工を現実的に考えたときに必須の項目だからです。そういった点から、弊社(断熱リフォームの匠)では高性能グラスウールボードを床下断熱リフォームで採用しております。

断熱リフォームの匠が断熱材で重要視するポイント

断熱リフォームの匠では、床下断熱リフォームに高性能グラスウールボードを採用しています。もちろん、高性能グラスウールボードにもメリットとデメリットがあります。私たちがどのようなメリットを重要視しているのか、最後にご紹介したいと思います。

私たちの床下断熱リフォームは床を剥がさずに施工する非破壊工法を採用しています。非破壊工法は工事にかかる期間を短縮したり、従来のリフォームよりも非常に安価であるというメリットがあります。しかしその分、使用する断熱材は床下という特殊な環境で施工することを考慮しなければなりません。

(写真)断熱材が雑に切り取られている。
欠落した断熱材

(写真)施工後に落下してしまった断熱材。

 
例えば上記の写真だと、配管が密集している部分に対しているせいで硬質ウレタンフォームをうまく切る取ることができていない状況です。施工後に断熱材が欠落してしまうようなことがあっては意味がないため、そういったリスクを最小限にとどめたいと考えています。

だれた断熱材

(写真)垂れ下がってしまった袋入りグラスウール。
搬入

(写真)グラスウールボードは床下での取り回しが容易。

 
また袋入りグラスウールもサイズの過不足による隙間や断熱材のゆがみにより断熱性能を失ってしまうことになりかねません。

高性能グラスウールボードは床上から床下へ無理なく搬入でき、狭い床下空間でも簡単に扱えます。さらに、適度な柔軟性も併せ持っているため、非破壊工法とうまく噛み合っているのです。

また、他の断熱材に比べてコストが抑えられるため、「できるだけ安く抑えたい」というお客様のニーズにも応えられます。これらの理由から、断熱リフォームの匠にとって最適な断熱材と言えるでしょう。

まとめ

今回は床下断熱リフォームに使われる断熱材や工法についてメリットとデメリットをご紹介してきました。

やはり大切なのは断熱材の特徴だけにとらわれるのではなく、「どんなリフォームをしたいのか」とセットで考えることだと思います。ぜひ自分のプランに合った断熱材やそれを取り扱うピッタリの業者を探してみてくださいね。

廣澤
廣澤
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非破壊工法の断熱リフォームで日本トップクラスの実績
非破壊断熱工法の専門店
首都圏で年間200棟の施工実績
業界初の10年間工事品質保証
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窓・床下・天井を壊さず断熱

1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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