中古住宅はなぜ寒い?断熱性能と底冷えの深い関係|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2024.01.31

断熱リフォーム

中古住宅はなぜ寒い?断熱性能と底冷えの深い関係

WRITER

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

こんにちは、《断熱リフォームの匠》の矢崎です。

冬の1階はとてつもなく寒いですよね。

マンションから中古住宅を購入して引っ越された方からは「一軒家がこんなに寒いとは知らなかった」という声をよくお聞きします。

またお子さんやお孫さんが実家に来ると、「寒い!」という率直な感想を聞かされる方が非常に多いのも肌で感じるところです。

今回はなぜ築年数が古いと寒くなるのか、詳しくお話ししていきます。

原因は見えない”下地”にあり


寒さの原因はズバリ建物の”下地”にあります。

こちらは床組の構造について表した図です。

まずフローリングを剥がした時にまず見えるのが根太(ねだ)と呼ばれる部材です。

根太を支えるのが、大引(おおびき)や土台と呼ばれる太い木材になります。

では築年数の古い住宅には下地にどのような問題があるのか、詳しくみていきましょう。

床と壁の間に隙間がある


築年数が古い建物の多くは下地が「根太工法」という工法で作られています。

根太工法では、まず床組を完成させてから壁を造っていくのですが、この工法ですとどうしても床と壁の取り合い部分に隙間ができてしまいます。

根太と根太の間がすっぽりと空白になっているのがわかりますね。

この隙間があることで、床下の寒い冷気は上がって壁の中に入って室内側に入っていきます。

床下を真横から見た図です。

床下の冷気が根太と根太の間を通って壁の中に侵入していく流れを示してみました。

この様子を実際に確かめる方法があり、もしコンセントボックスがあった場合は外して中に手を当ててみてください。空気の動きやその冷たさを確認できるでしょう。

築年数の古い建物でも築30年程度ですと、一応壁の中には断熱材が採用されているとは思います。

しかし断熱材は、内側に含んだ空気が動かない状態の時に初めて効果を発揮します。

床下からの冷気が壁内に入り込むと空気の流れができ、断熱材は効果を発揮できません。

築年数20〜30年ほどの物件で床下の調査をすると、気流止めがされているお家は皆無と言っても過言ではないのが現状です。

これこそが寒さの大きな要因となっています。

断熱材の厚さが足りていない


寒さのもう1つの原因として断熱材の厚み不足が挙げられます。

築年数の古い住宅ですと、断熱材は根太と根太の間に詰められています。

しかしこれでは現在の断熱基準と照らし合わせても、十分な断熱性能を得られないのは明白です。

根太という部材の厚みは4.5cmほどですので、使われる断熱材もおおよそ4cmほどの厚みしかありません。


さらに十分な施工不良が原因で脱落したり垂れ下がっている場合も多いです。

実質的には無断熱とほとんど変わらないと言えるお家は少なくありません。

一般的な床板の厚みは15mm、厚くてもせいぜい30mm程度です。

外気と変わらない床下の冷たい空気が直に伝わってくるわけですから、寒いのは当然と言えるでしょう。

床の底冷えを解決する断熱リフォーム


たとえ中古住宅のように元々の断熱性能が不足している住宅でも、リフォームによって断熱改修が可能です。

断熱改修の中でも、コストパフォーマンスを重要視したいようでしたら、「非破壊工法」による断熱改修がオススメです。


非破壊工法では、床を壊さずに床下から高性能な断熱材を充填していきます。

通常のリフォームと異なり床を剥がす必要がなく工期も1〜2日と非常に短いため、通常のリフォームに比べて費用を大幅に抑えることが可能です。

《断熱リフォームの匠》で実施している施工を参考に、断熱改修の様子を詳しく見ていきましょう。


床下ではまず根太と根太の間に気流止めを充填します。

床下から壁内へと侵入する空気の流れを堰き止めることで、寒さの原因である気流の発生を防げるようになるのです。

次に断熱材を充填しますが、《断熱リフォームの匠》で採用しているのは高性能グラスウールボードです。


8cmの厚みがあり、大引きと大引きの間に充填していくことで床下の断熱性能を等級4まで引き上げられます。

実際に施工いただいたお客様からは

「床の底冷えがなくなった」
「1階の寒さが気にならなくなった」

と非常に好評をいただいております。

さいごに


今回は断熱性能の低さが中古住宅の寒さの原因であることや、その解決法についてご紹介してきました。

ある程度の築年数が経過した住宅においては「根太工法」による床構造が非常に多く、床下から壁内に抜ける冷気流が室内を暖めにくくしています。

さらに断熱材の不足や欠落によって、そもそも断熱の効果を充分に発揮できていない状況との相乗効果で、より寒さを助長していると言える状況です。

寒さにはさまざまな健康被害があることは世界中の数々の調査でも明らかになっていますが、日本の家屋はとくに冬の寒さに弱いと言われています。

健康で快適な生活のためにも、ぜひ一度お家の断熱状況をチェックし、断熱性能の向上を図ってみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

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