窓サッシのカバー工法とは?リフォーム方法や価格を解説|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2024.10.08 / 更新日 2024.11.01
内窓・窓リフォーム
窓サッシのカバー工法とは?リフォーム方法や価格を解説
WRITER
WRITER
廣澤 健一郎
環境省認定うちエコ診断士
地方公務員を経て、テオリアハウスクリニックに入社。前職の経験から断熱に関する補助金の取り扱い業務に精通しており、これまでに国や地方自治体の補助金手続きを多数経験。 書類の作成だけではなく、自ら現場に出て調査・工事に携わるなど、断熱の実務経験も豊富で、これまでに点検訪問した住宅は1,500件を越える。
「窓のカバー工法について調べています」
「カバー工法と内窓はどっちがおすすめ?」
窓の断熱リフォームにはカバー工法という施工方法があります。最近では内窓と比較検討される方も増えてきていますが、内窓の設置やガラスの交換と比べると「カバー工法」についてご存知の方はあまり多くはない印象です。
そこでこの記事では、窓の断熱化として効果的な方法のひとつであるカバー工法について解説します。
目次
カバー工法とは?
カバー工法とは文字通り、もともと有る部材をそのままに上から被せてすっぽり覆うやり方でリフォームすることを指します。代表的なのは、屋根の改修工事でしょうか。
そして窓の改修におけるカバー工法というのは、古い窓枠を新しい窓枠で覆い隠し、そこに新しい断熱窓をはめ込んでいくやり方です。窓の断熱化の方法としては効果的な側面が多く、注目度も年々高まっている印象を受けますね。
詳細は後述しますが、およそ半日で1ヶ所交換が可能ですので、工期の短縮や経費の圧縮の面では大幅に有利に働きます。一般的な窓の断熱化というのは大掛かりな工事が必要になり、1ヶ所取り替えるだけでも1週間程度の時間がかかることもあるほどです。
カバー工法はその欠点を克服した方法で、費用や工期の負担を抑えながら改修ができるのが最大のメリットと言えるでしょう。
また、窓の断熱化方法としてメジャーな内窓の設置工事(二重窓化)のように開閉の手間が増えたりすることもないため、断熱リフォームの匠でもご依頼が増加している印象がありますね。
カバー工法の施工方法
実際にカバー工法を実施する場合の工程は、ざっくり言うと以下のようになります。
最初に既存の窓ガラスやハンドルなどの部品を取り外します。このステップで不要な部分を無くし、新しいサッシを取り付ける準備を行います。
壁にしっかり固定されている既存の窓枠は加工や切削をせずにそのままにします。窓枠を残すことで施工時間が短縮され、工事の負担も軽減されます。
新しい断熱タイプの窓枠を、古い窓枠の上に直接かぶせて設置します。
新しい断熱窓をはめ込み、しっかりと固定します。
最後に、窓の周りに額縁を取り付けて仕上げます。これにより見た目も美しくなり、リフォームが完了します。
②の工程で古い窓枠をそのまま残すのがカバー工法の大きな特徴です。これにより工期を短縮し、工事費用も一般的な窓改修工事よりも大幅に抑えることが可能なのです(後ほど詳しく解説します)。
カバー工法のメリット・デメリット
ここまでカバー工法の施工方法を解説しました。まとめると、カバー工法は既存の窓枠を残して新しいサッシを取り付ける方法です。施工が手軽で期間も短い点から人気ですが、メリット・デメリットを理解した上で選ぶことも大切です。そこで、カバー工法の長所と短所を詳しく見ていきましょう。
カバー工法のメリット
カバー工法によって窓を改修することには、様々な利点が存在します。
断熱性能が向上する
他の窓工事とも同様ではありますが、カバー工法で窓を改修することで断熱性能が向上することになります。もはや言うまでもありませんが、窓の断熱性能が上がるというのは、屋外の暑さ・寒さの影響を受けにくくなることを意味します。
外が真冬の寒さであっても窓から熱が逃げていきにくいため、暖房の効き目が大幅に向上します。逆もしかりで、夏には冷房効果を高めることが可能になるわけです。
冷暖房費の節約にもなると言われているのはこのためです。エアコンによって供給された暖かさ・涼しさが家の中に保たれるようになるというわけですね。
防音効果の向上(気密性の向上)
また、カバー工法で新しい窓になることで気密性能も高まるため、スキマ風や外からの騒音もカットすることが可能になります。
「窓を交換した後は、ゴミ収集車に気づかなくなった」とお客様からお話をいただいたこともあり、防音対策としても効果があることを何よりも物語っているのではないでしょうか。
工期を短縮できる
また、カバー工法の大きな利点として通常の窓交換工事よりも工期を短縮できる点が挙げられます。
一般的に「窓の交換」というと、家の壁に接合された窓枠も取り除くことになるのですが、その場合は壁の一部を壊して剥がし取る必要が出てくるため、大変な手間がかかります。
この場合には窓の工事だけでなく、それ以外に外壁の工事(解体・補修)や、壁のクロスを張り替える工事も必ず付随してくることになります。
このやり方だと、窓を1ヶ所交換するだけでも数日~1週間程度の工期がかかります。それに伴い、工事費用だけでなく仮住まいへの引っ越し等の負担も増える場合もあるわけですね。
断熱工事をするために、断熱以外の工事や負担が必要となると、なかなか容易には工事を決断できないのではないでしょうか。このような付帯工事が発生せずに、窓の断熱化だけに集中してリフォームできるのが「カバー工法」というわけです。
古い窓枠をそのまま残すため壁を壊すこともクロスの張替えも発生しませんし、窓1ヶ所あたり3時間~半日程度で工事が完了します。
内窓の設置ほど短工期ではないものの、それでも通常の窓交換と比較すると圧倒的に短い工事期間で完了すると言って良いでしょう。建物を大きく傷つけるリスクも少なく、ある意味では理想的な改修方法と言えますね。
手間が増えない(内窓と比較して)
さらに、よく言われる点として内窓のように開閉の手間や掃除の手間が増えないことに魅力を感じる点も忘れてはなりません。
これは普通の窓と二重窓をイメージしたら分かると思いますが、二重窓は単純に窓を2回開けないと外気を取り込んだり、外と出入りすることができないんですね。カバー工法の場合は窓自体が交換となるため、開閉については工事前と変わらず1回開ければ済むわけです。
リビングの掃き出し窓からお庭に出入りする場合や、換気のためによく開ける窓などはカバー工法での改修が最適だと言えるでしょう。
他にも洗面所や浴室、玄関などに取り付けられているジャロジー窓(ルーバー窓)は換気を重視しすぎる余りスキマ風が膨大なことが多いです。なおかつオペレーターハンドルによって内窓の設置が適さないこともあります。
そういった窓を断熱化する際にはカバー工法が「うってつけ」ですので、優先してカバー工法を検討していきましょう。
カバー工法のデメリット
さて、メリットがあればデメリットがあるのは世の常ですが、では窓をカバー工法で取り替える際のデメリットとはどういった点にあるのでしょうか?
準防火地域以上のエリアでは使用が制限される
まずお伝えしなければならないのが、準防火地域以上のエリアでは使用が制限される点です。自身のお住まいエリアが準防火地域以上に指定されているかは、実際には調べてみないと分からない部分ではあります。簡易的な見分け方として、窓のガラスが網入りガラスかどうかを見てみましょう。
網入りガラスの場合、その窓は防火設備として設定されていることがほとんどです。住宅の窓のカバー工法は、国の防火認定を取得した商品が現在のところ存在しておらず、窓を防火設備としなければならない箇所には使用できません。
特に注意しなければならないのが、たとえ防火地域であっても「工事そのものは実施できてしまう」ということです。その場合、断熱性能の高い窓に取り替えることはできても、建物そのものが法律に抵触することになりかねません。
将来的に物件の売買をするとなった場合や、火事が発生してしまった際に、適法ではない住宅となると、その点が問題になるのは容易に想像がつきます。
窓業者によっては、その点を考慮せずにカバー工法で工事を実施してしまい、後々になってトラブルになったという事例も実際に存在しますので注意してください。今後、防火認定を取得した窓のカバー工法商品が開発されることを願うばかりですね。
窓が若干小さくなる
続いてのデメリットは「窓が若干小さくなる」という点です。今ある窓枠に新しい窓枠を上から被せるというやり方である以上、もとの窓より必ずひと回りほど小ぶりになってきます。
おおまかなイメージで言うと、ガラス面のサイズが横幅・高さそれぞれで5cm~10cm程度小さくなると言って差し支えありません。イメージしやすいように、ご自宅の窓枠に定規を当ててみてください。
リビングなどの大きい窓であればそれ程小さくなるという印象はありませんが、洗面所やトイレなどの小窓をカバー工法で改修すると考えるとどうでしょうか?
横幅と高さがそれぞれ10cm程度小さくなるとすると、かなり小さくなるという印象を受ける方が多いのではないかと思います。工事後に「思っていたより小さいんだね」とおっしゃる方も実際にいらっしゃいました。
窓枠に小物が置きにくくなる
また同様の理由で、窓枠に小物が置きづらくなる点も忘れてはなりません。例えば洗面所であれば洗剤の容器、トイレであればトイレットペーパーなどを、窓の枠の部分に置いている方はたくさんいらっしゃるかと思います。
カバー工法によって窓を改修すると、新しい窓枠がやや出っ張ってくるため、窓枠の物置きスペースもその分だけ小さくなってくる点は考慮しましょう。今までと同じように物を置くことはできなくなりますので、別の置き場所を考える必要が出てくることが非常に多いですね。
一方で、二重窓のように窓枠が完全に窓に占領されるわけではないため、ちょっとした小物程度でしたら工事後にも置けることがあります。また、もともと窓枠に物を置かない方にとってはあまり大きな問題にはならないかもしれません。
住宅メーカーの鉄骨造などには施工できない
また、カバー工法はその施工対象が限られていることもデメリットの一つです。基本的には木造住宅やRC(鉄筋コンクリート造)住宅にのみ対応しており、特に住宅メーカーが手掛ける鉄骨造の住宅には施工ができません。
このため、鉄骨構造の住宅を所有している場合や購入を検討している場合は、カバー工法を選択肢に入れることができない点に注意が必要です。また、同様にALC(軽量気泡コンクリート)構造の住宅でも施工が難しく、工法が異なる建物においては柔軟性に欠けると言えるでしょう。
内窓よりも割高
カバー工法と内窓設置を比較した場合に気になるのが、材料費・工賃ともに大きく上回ってくる点です。先ほどもご説明したとおり、壁などの解体が含まれない分カバー工法でも費用は抑えつつ工事ができます。それでも、内窓と比べると1ヶ所あたり2倍から2.5倍程度の費用がかかることになります。
カバー工法での窓改修を検討するうえで必ずネックとなる点でもあるので、安易に「全ての窓をカバー工法で改修したい」と考えても、実は想像以上に費用がかかると分かって断念することになりかねません。
断熱性能と使い勝手を両立したい窓はカバー工法での検討を優先して考え、その上で他の改修方法も織り交ぜて検討した方が、最終的にコストパフォーマンスを最大化できると思います。
カバー工法の費用
さて、カバー工法による窓改修をした場合、工事費用はどの程度になるのでしょうか?
基本的に窓の工事費用というのは、ざっくりと言えば材料費と工賃の合計です。選択した窓のグレードや性能値によっても違いますので一概にピッタリいくらとは言いにくい面があります。
一例として樹脂製フレーム・ガス入りLow-E複層ガラスの組み合わせでカバー工法の工事費用を挙げてみますと以下のような費用感になります。
トイレや洗面所などの小窓に、樹脂製フレーム・ガス入りLow-E複層ガラスでカバー工法を行った場合の費用。※画像はYKK APマドリモ
工事費用(1ヶ所) | 10万〜20万円 |
---|
ダイニングや寝室などの腰高窓に、樹脂製フレーム・ガス入りLow-E複層ガラスでカバー工法を行った場合の費用。※画像はYKK APマドリモ
工事費用(1ヶ所) | 15万〜30万円 |
---|
リビングや寝室などの掃き出し窓に、樹脂製フレーム・ガス入りLow-E複層ガラスでカバー工法を行った場合の費用。※画像はYKK APマドリモ
工事費用(1ヶ所) | 30万〜45万円 |
---|
窓のサイズが大きいほどそれに比例して材料費・工賃ともに上がっていくのが一般的ですね。具体的な金額は窓の寸法や周辺を計測してみないと分かりづらいため、あくまでも目安としてお考えください。
費用を抑えるためのポイントとして、安易に最高グレードの窓を選択しないことが挙げられます。近年ではどんどんとより高性能な窓が登場してきており、テレビCM等でも「トリプルガラス」が組み込まれた窓がたびたび紹介されています。
窓メーカー各社はより性能値の高い窓の開発に注力しており、それ自体は非常に良いことなのだと思いますが、いわゆる「やり過ぎ」になる場合もあることに注意が必要です。
なぜかと言うと、あまりにも高性能なために、冬場の暖かい日差しすら室内に入りにくくなり、その恩恵を受けづらくなることが指摘されているからです。
日差しを取り込む度合いを「日射取得率」という言葉で表現しますが、ペアガラスとトリプルガラスを比べた場合、およそ2倍ほど日差しによる暖かさを取り入れる効果が違ってきます。あまりにも性能が高いために、その日差しすらも弾き返してしまうという理屈です。
最高グレードの窓を取り入れた結果、性能は確実に優秀になった代わりに余計に暖房が必要になってしまう可能性もはらんでいるというのが難しいところですね。
そうならないためには、断熱性能と日射取得のバランスを考慮して、日差しの当たる南面の窓などはあえてトリプルガラスではなくペアガラスを選択することも視野に入れましょう。
また、補助金の活用をすることで、窓の工事費用の一部が還元を受けられることもあります。
内窓とカバー工法の比較
カバー工法による断熱改修のイメージはついたでしょうか?次に、カバー工法と人気を二分する内窓との比較について解説していきましょう。
カバー工法 | 内窓 | |
---|---|---|
断熱性能 | ◎ | ◎ +α |
使い勝手 | ◯ | △ |
費用 | △ | ◎ |
自由度 | ◯ | △ |
まずは何よりも先に断熱性能の違いについてです。内窓というのは、多くがペアガラスと樹脂フレームにより構成されており、それ自体が断熱のために設計されていると言っても良いものです。
断熱性能は非常に高く、単板ガラスとアルミフレームという古い窓であっても手軽に、尚且つ格段に性能を高めることができます。そしてカバー工法による窓交換もペアガラスと樹脂フレームの組み合わせに違いはありませんので、十分に高い性能を発揮します。
ただし、最終的な性能値で言えばもとの窓が残る分、内窓の方がわずかに優勢になります。もともとある窓についても無くなるのと比べれば性能アップに寄与しますし、既存の窓と内窓の間に空気の層が出来ることで緩衝材の役割も果たすためです。
それでいて費用は2倍程度の違いがありますので、その意味では内窓のコストパフォーマンスの方が優れているとも言えます。
その一方で、開閉の手間や窓種などの制約がかかる内窓に比べれば改修の自由度ははるかに高いので、カバー工法が選択肢から外れるということはないでしょう。
先述していますように、
- 頻繁に開け閉めする窓かどうか
- 内窓を取り付けると開閉に支障が出ないか
- そもそも内窓の設置が可能かどうか
などの観点から窓ごとに考えていくようにしたほうが良いかと思います。
結論|カバー工法がおすすめな人は?
ここまでご説明した判断材料をもとに、カバー工法がおすすめな人をまとめると以下のようになります。
内窓が取り付けられないと言われた
窓の種類を変更することを考えている
上記3項目に一つでも当てはまる方は、カバー工法が向いていると思われます。一方で、準防火地域以上のエリアに建っている住宅については、カバー工法を選択できない場合がありますので、改修プランの組み立ての際には注意が必要です。
窓の改修はご自身だけで全てを決めることが難しいと思いますので、アドバイスを受ける気持ちで断熱に詳しい業者に相談するのが効果的でしょう。断熱に詳しい業者に窓のことを相談すれば、自分では思いつかなかった最適の方法が見つかることもあると思います。
まとめ
今回は窓の改修方法としてのカバー工法について解説いたしました。窓の断熱リフォームというのは選択肢が多く、なかなかご自身の考えだけでは最適な方法を決断しにくい工事でもあります。
とはいえ、カバー工法は費用の面や性能の面だけでなく窓種を変更できる自由度も兼ね備えています。窓の断熱リフォームを検討するときには最もバランスの取れた選択肢となりますので、内窓と並んで効果的な改修方法であると位置づけて検討していくようにしましょう。
首都圏で年間200棟の施工実績
業界初の10年間工事品質保証
補助金・助成金の申請も代行
窓・床下・天井を壊さず断熱
1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。
トップページへ
断熱リフォームの匠が選ばれる理由
価格・プラン
お客様の声・施工事例
断熱無料調査についての詳細
断熱無料調査のお申し込み