フローリングの底冷え対策、何から始める?効果的な対策をご紹介|断熱リフォームの匠

コラム

投稿日 2021.01.14 / 更新日 2024.11.15

寒さ・暑さ対策

フローリングの底冷え対策、何から始める?効果的な対策をご紹介

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矢崎 拓也

環境省認定うちエコ診断士

大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。

寒い季節になると、フローリングの床から冷気が伝わってきて、「足元が冷えてつらい…」と感じる方も多いのではないでしょうか?

「底冷え」は快適な室内環境を妨げるだけでなく、健康にも影響を及ぼすことがあります。特にフローリングは、冷気をそのまま感じやすく、他の床材に比べて冷えやすいのが特徴です。しかし、ちょっとした工夫で底冷えを防ぎ、冬の寒さを和らげることができます。

この記事では、初心者でもすぐに始められる手軽な対策から、本格的な対策までを幅広くご紹介します。毎日の生活を少しでも快適にするために、ぜひ参考にしてみてください。

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フローリングや床が冷たい!底冷えの原因

寒い季節になると、家の中にいても足元から冷えが伝わってくる「底冷え」を感じることがあります。特に、多くのフローリングの床は合板でできており、カーペットや畳に比べて熱を伝えやすいため、冷えをダイレクトに感じやすい素材です。

室内温度が快適でも、フローリングの冷たさがそのまま足元に感じられると、床からの冷気が不快さを増幅させることが少なくありません。

底冷えの原因は様々

ただし、「フローリングが冷たく感じる」または「足元からくる冷え」の原因は床のフローリングだけが原因ではありません。実は様々な要因が重なることで冬の底冷えを感じているのです。

合板フローリングが使われている

合板フローリング

(写真)合板フローリング。表面は固い質感で、冷えると冷たさを感じやすい。
無垢フローリング

(写真)無垢フローリング。素足で歩いてもあたたかみを感じる。

 
先にお話ししたとおり、合板のフローリングは床からの冷気、冷たさを感じやすい素材です。

フローリングには主に「合板」と「無垢材」の2種類があります。合板は薄い板を接着剤で貼り合わせて表面を木目調プリントで仕上げたものが多く、木の温かみが感じにくいのが特徴です。そのため、合板フローリングを使用していると、特に寒さを感じやすくなる可能性があります。

一方、無垢材のフローリングは木材そのものを使用しているため、合板よりも熱を伝えにくく冷たさを感じにくいです。特に柔らかい樹種であるスギなどを使うと、足裏に温もりを感じやすくなります。これは無垢材の内部に多くの空気層があり、それが断熱効果を生むからです

コールドドラフト現象が起きている

暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい性質があります。そのため、部屋に冷気が入ると「コールドドラフト現象」が起こり、足元が冷えやすくなります。

コールドドラフト現象のイメージ

(写真)冷たい外気が窓から滝のように流れ落ちる。
建物から逃げていく熱の割合

(写真)冬の住宅では窓から熱が逃げる割合が最も多い。

 
特に窓の断熱性能が低い場合、外からの冷気が窓を通じて室内に流れ込み、滝のように床方向へ流れて溜まっていきます。これがコールドドラフト現象と呼ばれるもので、この冷気の流れが床や足元を冷やし、底冷えを感じさせる原因となります。

断熱材が足りていない

床や壁、天井の断熱材が不足していると、外からの冷気が室内に入りやすくなり、部屋全体が冷えやすくなります。特に床の断熱が不十分だと、足元から冷気が伝わりやすく、底冷えの原因となります。

(写真)断熱材が入っていない床下。床板の裏面が見えてしまっている。

(写真)断熱材が垂れ下がっている。断熱材が施工されていても効果がなくなってしまう。

 
近年の住宅には床下の断熱材が施工されるようになってきましたが、それでも厚みが不十分だったり、施工精度が悪く断熱欠損や施工漏れが見つかる家は多くあります。築20年以上経過した住宅では、全く断熱材が入っていないことも珍しくありません。

矢崎
矢崎
断熱材がしっかりと入っていれば、外気の温度変化の影響を受けにくくなるため、室内の温かさを保ちやすくなります。そのため、底冷えを防ぐには断熱材の見直しや追加を検討することが重要です。

冷えた床は健康リスクが高まる

底冷えは単に快適さを損なうだけでなく、体温低下を引き起こし血行不良や冷え性、さらには免疫力の低下を招く可能性もあります。

また、冷えが続くと筋肉のこわばりや関節の痛みを引き起こすこともあり、特に冬場の健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。だからこそ、寒さが厳しくなる季節を迎える前に、しっかりとした底冷え対策を講じることが大切です。

温度による健康リスク

(写真)温度の違いによる健康リスク。イギリス保健省の調査。18度以下で健康リスクが現れる。
断熱性能による疾患改善率

(写真)近畿大学が平成14年以降に約3万5千人を対象に実施した健康調査。断熱性能の変化による体調の改善率。

初心者向け:手軽に始められる底冷え対策

寒さ対策は、少しの工夫で驚くほど快適さが増すことがあります。まずは、特別な準備や工事が不要で、気軽に始められる底冷え対策を見ていきましょう。

【対策1】厚手の靴下やスリッパを履く

手軽に始められる対策として、厚手のスリッパやルームシューズを活用する方法があります。特に、底がしっかりした厚手のスリッパは、フローリングの冷たさを和らげるため冬場の室内で重宝します。また、フリースやボア素材のルームシューズは体温を保ちやすく、足元の冷え対策にぴったりです

(写真)暖かい素材のルームシューズは足元全体を包み込むので効果を感じやすい。

(写真)ルームシューズを脱ぐのが面倒な場合は、冬用のスリッパでも代用可能。

 
特に、朝晩の冷えが厳しい時間帯に着用すると効果的で、底冷えを軽減できます。ただし、この方法は根本的な冷えの原因に対処するものではないため、床からの冷気を完全には遮断できません。そのため、室内でも足元だけでなく上着なども追加で着込む必要がある点はデメリットと言えるでしょう。

【対策2】ラグ・断熱タイル・コルクタイルを敷く

フローリングにラグや無垢材のタイル、コルクタイルを敷くことで、足元からの冷えを和らげることができます。厚手のラグやカーペットは、床から伝わる冷気を遮断し、断熱効果を発揮します。

(写真)コルクタイルを敷くと断熱性が高まり足元の冷えが和らぐ。

(写真)賃貸などでは無垢材のタイルを敷くのも効果的。費用はかかるが無垢材の温かみを感じられる。

 
さらに、ラグやカーペットは空気の層を作り出すため、室内の暖かさを保持しやすくなり、フローリングに直接触れるよりも快適さが増します。敷くだけで簡単に効果が得られるため、手軽に始められるおすすめの対策です。

また、コストはかかりますが、無垢材を使用したフローリングタイルもおすすめです。スギなどの木材を選べば簡単に無垢フローリングの温かみを手に入れることができます。

【対策3】ホットカーペットや電気マットを利用する

足元からの直接的な暖かさを感じたい方には、ホットカーペットや電気マットの利用もおすすめです。部分的に温められるため、全体の暖房に頼ることなく、寒さを緩和できるのが魅力です。

たとえば、座る場所や寝室の足元部分だけにホットカーペットを敷くと、少ない電力で足元を温められるので、コストを抑えながら快適さを実現できます。タイマー機能を使って使用時間を調整すれば、無駄なく効率的に利用できる点もポイントです。

【対策4】サーキュレーター・加湿器の利用

底冷え対策には部屋全体の空気循環も重要です。サーキュレーターや加湿器を使って部屋の空気を循環させると、温かい空気が均等に広がり、足元まで暖かく感じやすくなります。特にサーキュレーターは、エアコンと併用することで、部屋全体を効率よく暖めることができるため、暖房効率を高める効果も期待できます。

サーキュレーター

(写真)サーキュレーターを使って暖かい空気をかき混ぜる。
除湿機

(写真)加湿器で湿度を上げると体感温度が上がり暖かさを感じやすくなる。

 
また、冬場の乾燥を防ぐために加湿器を使って湿度を保つことで、体感温度が上がり、より快適に感じられます。適度な湿度は健康にも良いため、乾燥対策としてもおすすめです。

本格派向け:根本的な解決を目指す対策

寒さを根本から解消したい方には、少しコストがかかるものの、長期的に見て非常に効果的な方法がいくつかあります。これらの対策を導入することで、冬の寒さも快適に過ごせる環境を整えられます。

【対策1】床暖房の設置

床暖房

床暖房は底冷え対策として効果的な方法の一つです。床から温めることで部屋全体を均一に暖かくすることができ、足元の冷えを解決します。床暖房には、電気式と温水式の2種類があります。

電気式床暖房 電気ヒーターを床に内蔵するタイプで、比較的設置が簡単です。部分的な導入や部屋単位での設置も可能で、使いたいときにすぐ温まる利点があります。ただし、電気代がかかるため、広範囲での使用にはコストを考慮する必要があります。
温水式床暖房 温水を循環させて床を温めるタイプで、家全体の暖房として利用でき、ランニングコストも比較的低めです。ただし、初期設置に費用と工事が必要で、一部の住宅では設置が難しい場合があります。

 
床暖房を設置する際にはリフォーム会社や専門業者に相談し、家庭の設備やライフスタイルに合ったタイプを選ぶことが大切です。

ただし、床暖房は足元からの底冷対策になるものの、寒さが室内に侵入する根本的な解決にはなっていません。そのため、根本解決しないまま床暖房を設置してしまうと、熱のロスが大きく電気代がかさんでしまう原因にもなり得ます。※断熱リフォームの匠では床暖房工事には対応しておりません。

【対策2】床の断熱リフォーム

そこで、本格的な底冷え対策として床の断熱性能を向上させる床下断熱リフォームが検討できます。床に断熱材を入れることで、外気の影響を最小限に抑え、冬でも暖かさが持続する環境を整えることが可能です。

(写真)分厚い断熱材を床下から床の裏側に施工する。これにより床の断熱性能を向上させることが可能。

(写真)断熱材は隙間や落下が起こらないようにしっかりと木材に止める。

 
フローリングの裏側に断熱材を施工することで、床からの冷えを根本から改善します。本来は新築時に断熱材を隙間なく入れておくことが理想ですが、リフォームで後から追加することも現在では可能です。

未断熱の床面のサーモ

(写真)未断熱(キッチン側)のエリアの床面
断熱済みの床面のサーモ

(写真)断熱済みの部屋の床面

 
弊社が実施した検証では、暖房状態の部屋の未施工と断熱済みの床で5~6℃の表面温度変化があったことを確認しています。断熱リフォームは初期コストは高いものの、長期的に快適な住環境を提供し、冷暖房費の節約にもつながるためおすすめの対策ですね。

【対策3】内窓の設置による二重窓化

底冷えの原因は床だけでなく、窓からの冷気が床に伝わるコールドドラフト現象でも起こります。そこで、窓の断熱を強化することは非常に有効な対策です。内窓を設置して二重窓化することで、窓からの冷気を防ぎ室内の暖かさを保てるようになります。

(写真)内窓の施工前。アルミサッシ単板ガラスでコールドドラフト現象が起きやすい窓だった。

(写真)内窓の施工後。既存の窓と合わせて2重窓化されている。

 
既存の窓の内側にもう一枚窓が増えることで冷気の侵入を効果的に防ぎ、断熱効果が大幅に向上します。結露防止にも役立つため、健康面や建物のメンテナンスにも良い影響があります。

それぞれの対策の比較

根本対策
になる
それ自体が
発熱する
施工費用
内窓 × 【1階全ての窓】
70万~80万円程度
【1階と2階全ての窓】
100万~180万円
床下断熱 × 【1階床全面】
50万〜70万円
床暖房 ×
(光熱費がかかる)
【1部屋(12畳)】
50万〜200万円

 
窓や床下の断熱は冷気を遮断するための根本的な対策ですが、これ自体が発熱するわけではありません。一方で、床暖房は発熱機能があるため設置後すぐに暖かさを実感しやすいものの、冷気の侵入を防ぐ根本的な対策にはなりません。

そのため、最も効果的なのは、これらの対策を組み合わせて行うことです。ただし、すべて同時に導入するとコストが非常にかかるため、まず最初のステップは内窓を取り付けて窓からの冷気を防ぎ、暖房効率を高めると良いでしょう。さらに予算に余裕があれば、床下断熱も追加することで床からの冷気を遮断し、より暖かく快適な空間を実現できます。

まとめ

フローリングの底冷え対策には、手軽に始められるものから、根本的に冷えを改善する方法まで、さまざまな選択肢があります。ラグや厚手のスリッパを使うといった簡単な方法から、断熱マットやホットカーペット、サーキュレーターを取り入れる方法、さらには床暖房や二重窓の設置、断熱リフォームまで、それぞれの対策は生活スタイルや予算に応じて取り入れることができます。

足元の冷えは、快適な暮らしや健康に直結する大切な要素です。できるところから対策を始め、寒い冬を快適に過ごせる暖かい住環境を整えてみてはいかがでしょうか。

矢崎
矢崎
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非破壊工法の断熱リフォームで日本トップクラスの実績
非破壊断熱工法の専門店
首都圏で年間200棟の施工実績
業界初の10年間工事品質保証
補助金・助成金の申請も代行
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1974年の創業から50年を超える歴史を持ち、住宅メーカーなど1200社以上の住宅のプロとも取引実績を持つ当社。日本でも数少ない断熱リフォーム専門店として、断熱工事に関するあらゆるお困りごとを解消すべく、技術とサービスを磨いて参りました。断熱性能は快適な暮らしを守る影の立役者。私どもはその裏方の仕事に誇りを持ち、期待を超える品質でお応えします。

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