床下断熱の構造を解説!部屋が暖かくなる仕組み「仕組み」とは|断熱リフォームの匠
コラム
投稿日 2021.09.06
断熱材
床下断熱の構造を解説!部屋が暖かくなる仕組み「仕組み」とは
WRITER
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矢崎 拓也
環境省認定うちエコ診断士
大学卒業後、断熱にまつわる資格をいくつも取得し、自ら調査や補助金申請の手配、セルロースファイバーの施工から窓の取付まで行える業界でも異色の人物。「日本中の住宅性能の低さを解決したい!」と大きな夢を原動力に戸建住宅の断熱リフォームに取り組む。
こんにちは。断熱リフォームの匠の矢崎です。今回はこのような疑問にお答えします。
床下断熱がどのような構造になっているのか、どうして建物を寒さから守ることができるのか、わかりやすく解説していきます。
床下断熱の構造とは?
床下断熱は床のすぐ裏側に取り付ける断熱材のことをいい、「床断熱」と呼ばれることもあります。
床下断熱として使われる断熱材には
- グラスウール断熱材
- 現場発泡ウレタン
- 押出法ポリスチレンフォーム
など、色々なバリュエーションがありますが、原理は全て同じです。それは「断熱材の力で冷たい空気を遮断する」ということ。
床下には換気を良くするための通気口や基礎パッキンが取り付けられています。建物の湿度を調整する上で欠かせないものではありますが、これが原因となり冷たい空気が床下に入り、それが床上まで伝わってくるのです。
床下断熱は床下の空気と床との間に挟まり、寒さを伝えにくくする役割を果たしています。
では、どうして断熱材は寒さを伝えにくくすることができるのでしょうか。それは「空気を閉じ込めているから」です。
例えば、グラスウール断熱材は細かいガラスの繊維でできた断熱材ですが、繊維と繊維の間に空気を閉じ込めて外の冷たい空気が入ってこないようにしています。押出法ポリスチレンフォームも、樹脂の膜の中に細かい空気の粒を閉じ込めることによって冷気を伝えにくくしています。
空気をうまく断熱材の内側に閉じ込めることが暖かさを感じるための秘密です。ここで、断熱の力を簡単に実感する方法を1つご紹介します。発泡スチロールやプチプチでできた緩衝材を用意し、そっと手を当ててみてください。
暖かさを感じるはずです。
どうして熱を出していないはずの発泡スチロールやプチプチを触ったら暖かさを感じるのか、これはまさに「断熱」のおかげです。
私たちの手は「赤外線」という形で熱を外に出しています。その熱がそのまま跳ね返ってきて、暖かさを感じるというわけです。
床下断熱は多くの家で構造的な問題を抱えている
多くの家では床下断熱はうまく機能していないといわれています。
- 断熱材が薄い
- 劣化してボロボロになっている
- 施工品質が低いことから剥がれ落ちてしまっている
などの原因で床と断熱材の間に隙間ができてしまうと、断熱材はうまく空気を閉じ込めることができず、外の冷たい空気がどんどん部屋の中に伝えてしまいます。
また、日本の伝統的な住宅の構造である「在来軸組工法」で建てられた家は構造上、「気流」と呼ばれる空気の流れが通気口から床下を通り壁内に向かって作られます。
床下断熱の施工をする際は気流の存在を意識しておかないと断熱材の効果は大幅に低下してしまいます。しかしながら床下の点検をしていると、このことを理解せずに施工されている建物がとても多いなと感じてしまいます。また、そもそも断熱材が入っていない家も決して少なくありません。
これらのことから、多くの家ではたとえ断熱材が使われていたとしても冬になると足元の冷えをなくすことができずにいます。
私たちは寒い時には「暖房をつけて暖かくしよう」と考えますが、本当に注目すべきは見えない場所にある「断熱材」の性能なのです。
床暖房は床下断熱の構造を整えてから
「床下断熱って熱は出さないんでしょ?だったら床暖房をつければいいんじゃないの?」と思うかも知れません。
確かに断熱材は自分では熱を出しませんし、それだけで部屋を暖かくすることはできません。しかし、もし床暖房を使うとしても、必ず事前に断熱材を整えておく必要があります。なぜかというと、余計な熱が床下にどんどん逃げていくからです。
私たちはエアコンを使う時、必ず部屋の窓を閉めます。これは暖かい空気を外に逃さないようにするためですよね?それと同じで、もし断熱材がない状態で床暖房を使おうとするとせっかく作った大切な熱をどんどん外に逃してしまうことになります。
断熱材は暖房器具を効果的に使うためには必要不可欠な存在なのです。
まとめ
今回は床下断熱の構造についてご紹介してきました。床下断熱は世間的に見てもまだまだ注目されていません。「部屋を暖かくする」と聞くとエアコンやヒーターといった暖房器具ばかりが想像されがちですが、実は断熱材が部屋の暖かくするためのキーを握っていると言っても過言ではありません。
ですので、もし「エアコンをつけても足元が寒い」と感じるようであれば、断熱材が不十分であることが疑われます。
「とはいっても、建っちゃってる家だともうどうしようもないでしょ?」と思うかも知れませんが、そんなことはありません。断熱リフォームの匠では、お家の断熱材をパワーアップさせるリフォームを行っています。
断熱材の性能を底上げするだけで、今まで感じていた足元の冷えや肌寒さがパッとなくなってしまいます。
もし断熱材について興味を持っていただけたようでしたら、下記バナーのリンク先で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。